こんにちは!
西裏市場2025で、会場全体の使い方や出店者の配置などを担当しました、運営事務局の小林です。
これまで「イベント当日の様子とコンテンツ紹介」「会場装飾について」の2本のレポートを公開してきましたが、今回の記事で開催レポートは最後になります!
今回は、運営事務局としてどんな意図で出店者の皆さまをお呼びしたのか、なぜこの会場を使ったのかなど、お客さま・出店者の皆さまに、西裏市場2025の全体を通して楽しんでいただくために取り組んだことを、具体例をピックアップしながらご紹介します。
西裏と西裏市場
改めて、富士吉田の「西裏」エリアとは、かつて200軒を越えるお店が並び、県内外から大勢の人が集まった関東屈指の歓楽街でした。当時は常に人で溢れかえり、通りを歩く人々は肩をぶつけながら歩いたともいわれています。
現在、お店の数は減少しましたが、西裏を盛り上げよう!と、新しい世代がお店を開いたり、イベントが開催されるなど、賑わいをみせています。
「西裏市場」はそんな西裏エリアで開催するマーケットイベント。
「西裏エリアに刻まれた人々の記憶や賑わいを次世代にも残していきたい」
「観光の文脈から、西裏を昼の街としても盛り上げていきたい」
そんな想いから昨年2024年にスタートしたイベントです。
今回の西裏市場2025は、西裏エリアにある200mの一本道「西裏通り」を会場に、飲食・雑貨・ワークショップなどのさまざまなジャンルの出店者の皆さまに出店いただき、1日で4,000人以上のお客さまにご来場いただきました。
そんな西裏市場2025の開催までに、運営事務局としては次のようなことを目指し、取り組んできました。
“西裏の風景” を想像する
まず、今回運営事務局として西裏市場2025で目指していたことは、「イベントを通して生まれる、 “西裏の風景”を想像すること」でした。
その “西裏の風景” とは、「老若男女が集まり、明るく笑顔溢れる風景」や「西裏の道の真ん中に机を並べて、ワイワイガヤガヤ賑やかな風景」、「『西裏にあったら良いな』と思える風景」、「西裏の路地をさまざまな人が歩く風景」などなど。事務局メンバーそれぞれの視点から、“西裏の風景” を想像して、実現できるようにとチームごとに取り組んできました。
具体的には、お酒やフードが並ぶ飲食エリアに加え、子どもも楽しめるキッズエリアを作ったり、空き店舗を活用した出店を行ったり。また、周遊していただけるようなスタンプラリーコンテンツを行ったり、賑やかでレトロな装飾をしたり、道の真ん中に机を設置したりと、イベント当日には、想像していた風景を実現することができました。
“西裏の風景” を一緒に作っていただく仲間探し
西裏市場2025では、地元の西裏店舗が17店舗、市外から出店いただいた店舗が40店舗と、前回開催から20店舗以上増の合計57店舗の出店者が集まってくださいました。また、今回初めて西裏市場に出店してくださった店舗は21店舗!
この全体的な出店者数 / 新規出店者数の増加は、前回からの会場変更が理由の一つで、
今回、西裏を回遊していただきたいという思いから会場となった「西裏通り」を、最大限に活用させていただき、一緒に“西裏の風景” を作っていただく仲間を探すために、新たな顔ぶれの皆さまにお声かけをさせていただきました。
もともと繋がりがあったり、物理的な距離の近さなど以上に、
「この出店者さんが作る西裏の風景が見たい」「この出店者さんに、西裏のあの空き店舗に出店していただきたい」「この出店者さんのファンの方に西裏市場に来ていただきたい」「出店者さん同士の出会いのきっかけになってほしい」など、お声かけの理由は全ての出店者の皆さまお一人おひとりにありました。
西裏×〇〇
そうした理由をもとにお声かけさせていただいたうえで、各エリアへの出店配置を行ったからこそ、当日西裏との素敵な化学反応がさまざまなところで起こっていました。その中から2つの例をご紹介します。
①西裏に残る風景×西裏の新たな風景
今回、西裏にある空き店舗での出店を企画しました。
お借りしたのは、かつて豆腐屋として営業していた場所で、当時使っていたタイルが残っており、地元の方にとっては懐かしい思い出が詰まっています。
その旧豆腐屋の空き店舗に、タイルアイテムを制作販売する〈クロリタイル〉さんに出店いただき、西裏に残る昔の風景を大切にしながら、色鮮やかなタイルアイテムとの共演を演出しました。
その結果、〈クロリタイル〉さんからも「お客さまから『お豆腐屋さんがおしゃれになってる!』と声をかけていただいた」とのお話もあり、かつての西裏の風景と新しい西裏の風景を、地元のお客さまを中心に楽しんでいただくことができました。
さらに、旧豆腐屋さんの中には、〈BROWNSEA FLOWER SHOP〉さんにも出店いただき、西裏に1日限りの小さなお花屋さんが生まれました。
“西裏にお花屋さん” これは事務局内でも「西裏にあったらいいな」と思い描いていた風景で、当日は、旧豆腐屋の軒先に植物が並び、お花を持って歩く子供達やお客さまの姿を見ることができ、イベントを通して新しい西裏の風景を作ることができました。
また、〈クロリタイル〉さんと〈BROWNSEA FLOWER SHOP〉さんを並べることで、お二方の魅力が掛け算となり、空間作りとしてもとても華やかなスポットになりました。
今回のイベントを通して、こうした「西裏にあったらいいな」と思える風景が、イベントの1日だけでなく、日常の西裏に広がっていくきっかけになることが、西裏市場を開催する理由のひとつだと感じた瞬間でした。
②足りないもの×楽しむアイディア
海外観光客やコロナ明けの飲み会需要で西裏が賑わってきた反面、日常においては、「ゴミが多い」「子どもたちが過ごす場所が少ない」などといったネガティブなイメージを、地元住民や観光客が抱いてしまっている実態もあります。
でもそれ以上に、レトロな看板が残っていたり、面白い路地裏があったり、何よりも楽しくて美味しいお店があったりと魅力もたくさんあるはず。
そこで、イベントを通して、これからの西裏にポジティブな目線を入れていくため、西裏市場では「ゴミ」と「子ども」に着目した取り組みを行いました。
まず「ゴミ」に関する取り組みでは、ワークショップなどを通してゴミについて楽しく学べる機会を作る〈ごみの学校〉さんに出店いただき、西裏市場のゴミ組成調査を行っていただきました。
西裏のゴミ組成調査では、当日出たゴミ袋3袋の内容物を調査してくださり、その結果から、今後西裏市場として取り組めるような、プラスチックゴミの再資源化や楽しいコンテンツ企画のアイディアをご提案いただくことができました。
この取り組みについては、後日記事で詳しくご紹介する予定ですので、ぜひご覧ください!
また、普段は駐車場として使用されている広い場所を会場として使用させていただき、子ども達が楽しめる、まるで公園のようなエリア「ぱんぱかPLAYパーク」を作りました。そこでは、子どもが参加できるワークショップやワクワクするゲームなどを行う出店者の皆さまに集まっていただき、エリア全体が明るく楽しい雰囲気に包まれ、西裏に“子ども達が楽しめる場所”を作ることができました。
そんな明るい風景が生まれた以外にも、西裏市場開催後に出店者の皆さまが「レトロでかわいい街だった!」と西裏に残る看板をSNSに載せてくださったり、お客さまも含め「移住したくなる理由がわかる!」「楽しすぎた!」などの感想をいただいたり、西裏市場を通して、“西裏の魅力の語り手” を増やすことができました。
西裏市場2025を終えて
西裏市場2025は、昨年から会場がガラリと変わり、ともなって出店者の数も増加し、イベントとしての規模感には大きな変化がありました。
今後も西裏市場の開催の形には変化があるかもしれませんが、変わらずに「イベントを通して生まれる “西裏の風景”を想像すること」に取り組み、出店者の皆さま・お客さま・地元住民の皆さま・事務局の中に新しい西裏の風景を残していきたいと思います。
そして、今回も西裏エリアで開催することができたのは、会場を貸してくださった地元の皆さまや、歩行者天国をすることに同意してくださった地元の皆さまのご理解とご協力があったからでした。会場準備の際に声をかけていただいたり、開催後に「賑わっていたね!お疲れさまでした!」と伝えてくださったり、富士吉田・西裏の温かさを感じました。本当に本当にありがとうございました。
西裏市場は、「次世代にも西裏の歴史や文化を伝えていきたい」「昼の西裏を盛り上げたい」という想いから開催がスタートしましたが、これからはより西裏の「日常」を支える地元の皆さま・西裏店舗の皆さまと一緒に、イベントなどの「非日常」とのワクワクする掛け算を生んでいきたいと考えています!
“西裏”が日常にある方にも、非日常と感じられる方にも、多くの人から愛されるエリアになりますように!
西裏市場2025の開催レポートは以上になります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
そして、西裏市場2025をともに作り支えてくださった、地元・西裏の皆さま、出店者の皆さま、全ての方に感謝いたします。本当にありがとうございました。

小林 真子(合同会社OULO)
西裏市場会場づくり・出店担当
山梨県出身。大学時代の就職活動中に富士吉田市が織物産地であることに興味をもち、移住・就職。“ローカルにいいながれをつくる”をテーマに事業を行う「合同会社OULO」で、企画とデザインを通してまちを楽しみ、伝える活動に携わっている。