バーのような雰囲気のやきとり屋ゆっくりとお酒を楽しむ空間づくり バーのような雰囲気のやきとり屋ゆっくりとお酒を楽しむ空間づくり

バーのような雰囲気のやきとり屋

ゆっくりとお酒を楽しむ空間づくり

炭火やきとり とばり

居酒屋

やきとり激戦区の西裏で10年目、
口コミ広がり、週末は予約なしで入れない人気店。

名店が立ち並ぶ子の神通りで、木製アンティーク調の扉が「炭火やきとり とばり」の目印。ドアを開けると一見バーかと思うような暗い店内にドライフラワーのランプシェードの暖かい灯り。中に入るとアジアンな雰囲気のカーテンの向こうで、若い女性客の笑い声や、ネクタイをゆるめた2人組のサラリーマンが肩を並べてやきとりを楽しんでいました。
賑やかな店内のやきとり屋が多い中、少し落ち着いた雰囲気でやきとりを楽しめる「とばり」。オーナー店長の宮下ゆうすけさんのお話を伺いました。

宮下ゆうすけ

宮下ゆうすけ

炭火やきとり とばり | 居酒屋

学生時代から目標にしていた自分のお店
たくさんのやきとり屋の中で自分だけのスタイルをさがす

とばりさんって西裏のやきとり屋さんの中で、ちょっと変わった店作りをされていると思うのですが、このお店のコンセプトや、ここでお店を開くことになった経緯を教えてください?

自分は地元の人間なのですが、学生時代から自営業に憧れていました。一度は企業に就職して会社員をしていましたが、「いつかは自営で暮らしていきたい」という想いがあったので、ダブルワークで居酒屋でアルバイトを始めました。その後、飲食業一本に絞って進み始めるも、紆余曲折の末に挫折を味わって凹んでいたときに、西裏の炭火やきとり「恵」のオーナーに声をかけてもらって、やきとりの修行をさせてもらえることになりました。さらに「恵」ではやきとりを学んだだけでなく「この西裏でお店を出しなよ!」と勧めてもらい、店舗物件まで紹介してもらいました。自分にとって本当に恩人だと思っています。西裏には既にたくさんのやきとり屋さんがあったので、自分なりに他のお店と被らないように少しずつテーマを固めながらお店をつくってきました。

個人的に、やきとり屋っていうと、明るいお座敷で年配の方々がビールとか焼酎とかを飲むイメージがあったので、ここは靴を脱がないでテーブルスタイルで、さらに暗い雰囲気でカクテルやウィスキーを飲むようなお店にしようと思いました。年配の方々も大歓迎ですが、若い人たちが来てくれるようなお店を目指しました。内装は大工の祖父に手伝ってもらって、僕自身もDIYを沢山しました。お店を作りながらイメージが膨らんできて、照明はドライフラワーの花束でランプシェードを作りました。

ちょっとエスニックで、ちょっと西洋風。すごくおしゃれだと思います。
この「とばり」というネーミングについても教えてください。

日本語で一息で発音できる言葉が良いなって思っていました。それで仲の良い先輩と一緒に色々言葉を出し合っていたのですが、その中でピンときたのが「とばり」でした。「夜のとばり」って言葉がありますよね、それがなんかいいなと思ったのと、「とばり」自体は幕とかカーテンの意味があると思いますが、とばりの向こう側にお客さんたちのプライベート空間がひろがっていたらいいなと、想像しました。実際に若い人たちがうちを使ってくれることが多いのですが、このカーテンがあることで個室みたいになって、プライベートな会話を楽しめるお店として、みてもらえているのかなと思います。それから僕自身の接客のポリシーとして、あまりお客さんに話しかけずに黙々とやきとりを焼いているので、やはり賑やかな店内というよりもみなさん穏やかな雰囲気でやきとりやお酒を楽しんでくれています。

やきとり屋を逸脱したサイドメニューの数々と、
一方で、普遍的な「やきとり」へのこだわり

以前このお店にきた時に、となりの席が若い女の子4人で女子会みたいな感じでした。西裏でこういう雰囲気って珍しいなと思ったのを覚えています。みなさん、どんな感じでメニューを頼んでいますか?

そうですね、まずはやはり、やきとりとサラダを一緒に注文されることが多いです。サラダは、生ハムと豆腐、シーザーの3種類を用意しています。それから、お料理は揚げ出し豆腐が人気で、それに加えて僕のおすすめは、じゃがいものガレット。これも塩バター、トマトソース、めんたいチーズの3種類を用意しています。

あとは、油そばも結構気に入ってもらってます。

油そばですか??なんかすごいメニューの幅が広いですね。

はい、実は弟が二郎系ラーメンの修行に出ていて、うちの油そばは弟が監修してくれているので本格的です。

なるほど、、油そばってことはやっぱシメのメニューですか?

いや、意外と早い段階で注文される方が多くて、シメにはうどんやお茶漬け、おにぎりなど用意しています。女性の方々は、シメのご飯系の代わりにデザートを注文されます。バニラアイスに黒蜜きなこを添えたものでリピーターが多いですね。

色々と芸達者というか、面白いやきとり屋さんですね。
ちなみに、本業?のやきとりについてのお話もお伺いしたいです。

やきとりは、実のところ「うちだけのこれ!」というものは用意していません。強いて他店と比べるならば、少し味を濃い目にしているかもしれません。タレも用意していますが 8 : 2 で塩の注文が多いです。やっぱりこのへんのお客さんは豆板醤でたべる焼き鳥がすきですよね。これは「こだわり」って言えるのかわかりませんが、「下手に気取った焼き鳥を出さない」ようにしています。「おじさんがたべても若い人がたべても美味しいと思えるやきとりってどんなものかな」って考えながら、僕なりに「こういうのでいいんじゃないか?」という普遍的なやきとりの味を目指して作っています。ちなみに、うちのやきとりは、タンと、ピーマンチーズ、しその3つが人気で、いつも多めに仕込んでいます。

バーにも引けを取らない豊富なドリンクメニュー
気になるお酒をどんどん聞いてみよう

カウンター席の向かいの棚に相当な種類のお酒が並んでいますね。
おすすめのドリンクを教えてください

メニューを開いてもらうとわかりますが、ドリンクは100種類くらい用意しています。僕自身がお酒好きなのでドリンクの種類は力を入れてて。個人的にはウィスキーが好きで、アイラモルトというアイラ島で作っているスコッチウィスキーがおすすめです。スモーキーで癖があるのが大丈夫な方には先ずこれを勧めます。 カクテルもリキュールが一通りあるので、裏メニューというか、メニューになくても相談したら色々作ってお出ししています。

そういえば、ここの西裏ハイボールってすごく独特でしたよね。
トマトジュースで割ってたと思うのですが。

今は西裏ハイボールのレシピを紅茶系に変えてしまったので出してないですが、前のレシピはトマトジュースを使っていましたね。トマトジュースってウィスキーと結構合うんです。それに酸味をちょっと抑えるために、ブラッドオレンジのシロップをいれて甘味で調和させたのが前回のメニューです。野菜ジュースみたいな飲み口でリピーターもついたのですが、トマトジュース自体が人によって好き嫌いが分かれるので、もうすこし万人受けするレシピに変更しました。今の西裏ハイボールは、僕がもともと好きなティースカッシュに着想を得てつくりました。紅茶と炭酸とレモンの組み合わせがもともと好きで、それにウィスキーを入れたらすごくしっくりきて、 スタッフの子にも飲んでもらったら、すごく美味しいって言ってもらえたので、こちらのメニューに切り替えました。

この前うちのスタッフの女の子も飲んでみて「これは全ての女子が好きな味です」って言い切ってました。笑

尊敬するお店がたくさんある西裏で、長くお店を続けていきたい。

それでは最後に、西裏の好きなところってどんなところでしょうか?
今後の目標についてもお聞かせください。

西裏はこんなに狭いエリアにたくさんのお店がありますが、それぞれの通りで事業者同士の関係が良いと思います。お客さんの取り合いがないし、むしろお勧めしあっている。僕が好きなのは、四川龍都、ピンク、プロム、笹梅など、正直、挙げきれないくらい良いお店がたくさんあります。
そして、僕は子の神通りにお店を出せて本当によかったと思っています。ここは西裏の入り口になっていて、みんなこの道を通って奥に入っていくので、開業当時も「ここにやきとり屋ができたんだ。」とみんな気がついてくれました。また、子の神通りは、住民も事業者もとても仲が良いと思います。10年間僕が続けて来れたのもこの通りだったからかもしれません。本当に感謝しています。これからもまた10年、大きなジャンプは望まずに現状維持で頑張っていきたいです。

西裏の通りの中でも地元民の多い子の神通りで商いを続けて10年間、誠実な人柄と居心地の良いお店作りで着実にリピーターを集めてきた宮下さんですが、宣伝が苦手で、オープン初日は3-4組しかお客が来なかった、なんて苦い思い出話もされていました。
宮下さんが大切にしているのは、とばり(カーテン)で仕切った空間の向こうの時間。お客さんたちのプライベートの会話や時間が少しでも良いものになるようにとお店づくりや接客のマナーを心がけているとのことです。

とってもおすすめのお店ですが、週末は予約なしでは入れない人気店ですので、平日の早い時間を狙うか、事前に予約をとってからおでかけください。

ー炭火やきとり とばりー

Access
住所:富士吉田市下吉田3-12-56
電話番号:0555-75-0445
営業時間:火〜木 18:00 – 0:00 L.O.23:30
     金・土 18:00 – 2:00 L.O.1:30
定休日:月曜日

取材・撮影|杉原悠太
企画|seeder design firm